県民共済と全国福利厚生共済会の違いは
・県民共済 = 厚生労働省の認可を受けて設立された非営利の協同組合の一つ
・全国福利厚生共済会 = 「新公益法人制度」により一般財団法人として設立された法人
となります。
もっとわかりやすく言うと、
・県民共済 ≒ 保険
・全国福利厚生共済会 ≠ 保険
でしょうか。
しかし、全国福利厚生共済会という名称から察するに共済を目的とする法人であることも事実です。
この二つの共済が何がどう違うのかについて徹底的に調べてみました。
共済とは
「共済」というと、パッと思いつくものとして「こくみん共済」「JA共済」「コープ共済」「都道府県民共済」などがあります。
なかでも「県民共済」と「こくみん共済」どちらも同じものだと思っていたという方もいるのではないでしょうか。
何が違うかというと、二つの共済を運営している組織が異なるのです。
こくみん共済【全国労働者共済生活協同組合連合会=全労済】coop
県民共済【各都道府県民共済生活協同組合】
当該記事で内容について検証するのは「県民共済」についてです。
各自治体の認可を受けて運営している「県民共済」は、正しくは「○○県民共済」です。
○○には各自治体の都道府県が入ります。
そもそも、「共済」がどういうものなのか、というところから調べてみました。
共済という仕組み
共済とは、法律の根拠のある制度共済、または、地方自治体内、企業内、労働組合内、学校内、地縁団体内、もしくは1000人以下の物を相手方として行う生命保険・損害保険に類似した保証ないし補償事業の事を指します。
共済商品として提供されるものは、生命保険同様生命保障を行う商品、損害保険類似の火災、自動車事故補償を行う商品などがありますが、あくまで類似です。
なぜなら、共済組合員により組合費として出資された掛け金により万一の際に保障を行うという非営利目的の共済構造を遵守しているからです。
保険とは、事故などにより生じる財産上の損失に備えて保険料を出し合いその資金により保険金を給付するための制度です。
そして、保険会社は保険金を支払う財源を確保するために保険料を資産運用することで利益を出し保険の内容によっては還付金などを被保険者に支払います。
要するに保険料をたくさん集めることで運用できる資金が増え、運用で資金を増やして被保険者への保障を充実させる運営を行うということですね。
共済は保険のような営利活動をおこなっていません。
組合が共済の運営にあたっています。
「共に助け合う」ことを共済と言いますがこの言葉通り、組合費として1口いくらという金額を支払うことで万一の際の保障を受けることのできる権利を得ることができます。
こうした共済組合の仕組みからなる保障のシステムが各自治体毎の「県民共済」というわけです。
共済の特徴:
先にもお話ししましたが、以下のような特徴があります。
①営利目的ではないこと
②加入対象となる人は原則として組合員とその家族
③根拠となる法律の違い
①と②は読めばわかりますね。
③については、それぞれの共済管轄を行う省庁により根拠となる法律が異なってくるということです。
「こくみん共済」は消費生活協同組合法、「JA共済」は農業協同組合法、「JF共済」は水産業共同組合法に基づき実施されています。
余談ですが生命保険などの保険は「保険業法」に基づき実施されています。
そして保険には万一保険会社が破綻した場合のセーフティネットと呼ばれる保険金として支払われる額のの90%を保証するシステムがありますが、共済会にはありません。
共済組合が破綻してしまった場合、保証されるべき金額を受け取れなくなることがある、ということだけは覚えておきましょう。
共済の種類:
保険同様、共済にも種類があります。
「ひと」に関する共済、「いえ」に関する共済、「くるま」に関する共済などがあります。
保険でいえば「ひと」あたるのは生命保険、「いえ」にあたるのは災害などの保障を受けることのできる損害保険、「くるま」にあたるのは自動車保険といった感じでイメージするのも容易いですね。
このように、一口に共済といっても様々な種類の共済があることを前提として理解しておきたいですね。
県民共済とは
県民共済を取りまとめているのは全国生活協同組合連合会ですが、共済の実施されている○○県民共済の○○自治体により、地域ごとの共済には特色がみられます。
例えば、神奈川県民共済と東京都民共済では提供されている商品が異なります。
あくまで、○○都道府県に住んでいる・勤務していることが加入条件なので神奈川県の住民が東京都民共済に入りたければ東京都民になるか東京都に勤務先があることが前提です。
この加入条件以外は一般の保険と特に違いはありません。
監督省庁と根拠となる法令の違いのみで一般の保険と共済は同じ機能を持っています。
商品の内容による差異を除けば「万一の時の保障を受け取ることができる」ことに変わりはないのです。
県民共済の特徴:
県民共済はなによりその商品がわかりやすく選びやすいということが特徴として上げられるでしょう。
掛け金により画一的な商品構成となっていることや年齢性別にかかわらず掛け金が一定であるということは、生命保険のように保障内容を詳細に検討するあまりどれを選べばいいのかわからなくなってしまった、という混乱をふせぐことができます。
オーダーメイドできない代わりに掛け金と保障内容だけを見て商品を選択することができる
とういう簡単さが県民共済の一番の特徴と言えるでしょう。
また、年齢性別を問わず一律の掛け金であるため、長い目で見れば高齢者にとっては割安となり、若者にとっては少々割高と感じる部分もあります。
そこで、県民共済のメリットとデメリットについて簡単にまとめてみました。
県民共済のメリット:
①単純な保障の構成となっており掛け金が安い
②運用でできた余剰金は割戻金として返金されるため実質の掛け金が安くなる
③掛け金が年齢や性別により左右されないため年齢が高いほど割安感を感じることができる
④健康確認が申込書の郵送のみで良い
県民共済のデメリット:
①支払い上限がある(死亡保障が最高800万円。65歳以上になると200万円に減額)
②保障期間に制限がある場合高齢期に保障が亡くなる可能性がある
③自由度のない商品のため希望する保障を選べない(死亡保障のみなどを選べない)
④若い世代には割高である
県民共済の掛け金は掛け捨てになります。
営業などにお金を掛けず掛け金を安くすることができていますが、その分民間の保険とは異なり貯蓄や万一の際の保障を増額するなどの組み換え機能はありません。
「共に助け合う」精神のもと万一の支えとなる保障を提供してくれるのが県民共済です。
全国福利厚生共済会とは
一方、全国福利厚生共済会は「共済」という名前からこれまで述べてきた「県民共済」などと同じものと誤解しがちですが、異なるものなのだということを認識しておかなければなりません。
まず一番異なるのは全国福利厚生共済会は一般財団法人であるということです。
一般財団法人は、個人であれ一定の資金を投じることができれば設立することが可能です。
投資金額はは300万円以上であればよいとされています。
そして、一般財団法人は拠出された財産を一定の目的のために利用する事に重点を置いています。
「入会された方々への福利厚生サービスの提供」を目的とした一般の民間団体であること、これがなかなか知られていません。
名前を聞けばどうも、県民共済など自治体や組合法などを根拠とした「共済」と混同してしまいそうになるので、ここでは「全厚済」と省略して書かせて位だたきます。
全厚済の特徴:
「入会し会費を支払うことで様々な福利厚生サービスを利用することができる」
これが全厚済の最たる特徴です。
提供される福利厚生サービスは多岐に亘ります。
この福利厚生サービスの名称を「ライフサポートサービス」と呼びます。
ライフサポートサービス 詳細についてはこちら
・お祝い金
・ブライダル
・医療
・介護福祉
・全厚済OffTime
・全厚済モール
・旅行
・くるま
・くらしのサポート
・くらしの相談
・お葬儀・お見舞金
・ビジネス
ライフサポートサービスの目玉はやはり御祝い金ですね。
人生における節目ごとに相当する金額を頂ける仕組みになっています。
ただし、高額の御祝い金ではありません。
多くて1万円程度の御祝い金と思っていていいでしょう。
また、現金での支給は葬儀見舞金のみで、他は全厚済の提携モールで使用できるギフトカードとなっています。
様々なサービスを全厚済の会員価格で利用できるなどメリットもあります。
ただ、会員の仕組みなどが少々複雑で、K会員と呼ばれる全厚済のサービスを利用するだけの会員と、プライム倶楽部会員と呼ばれるビジネス会員では受けられるサービスの限度額なども違ってきます。
全厚済のサービス自体は、加入することで全厚済の提携先のショップなどを利用すると料金が安くなるなどの会員制サービス提供組合のようなものです。
共済会会員の方でも、プライム倶楽部会員の方でも同じく利用できるサービスもあれば、利用する際に格差の出るようなサービスもあります。
共済会会員・プレミアム倶楽部会員とは:
全厚済の会員には二種類のカテゴリがあります。
①全厚済のサービスを利用するだけの共済会会員(K会員)
②全厚済のサービスを利用し、且つ全厚済のビジネスを展開する会員(プレミアムクラブ会員=P会員)
K会員とP会員の違いはビジネス活動ができるかできないかですが、このビジネス活動がいわゆるMLMとして知られています。詳細はこちら
ただの共済会会員として加入する場合には、月々の支払いのみ滞ることなく行っていれば、全厚済の謳っている御祝い金などの節目節目のサービスを受けることができます。
そして、その支払ってくれる御祝い金や弔慰金に対して、支払った金額の対価として見合うものかについても、加入者自身が納得していれば問題ないでしょう。
ビジネス会員になって、共済会会員の勧誘などを行うことで報酬を得られるシステムを活用しようと考えた場合、あなたが支払うP会員の月額と稼ぐことのできる報酬が見合うものなのか、というところです。詳細はこちら
全厚済とは、いわゆる共済とは全く違う「全国福利厚生共済会」という名前の「一般財団法人」で加入することで全厚済の提供するサービスを受けることのできる相互扶助システムである、ということなんですね。
県民共済と全国福利厚生共済会の違い
県民共済と全厚済について調べてきましたが、その違いを以下にまとめてみます。
・目的の違い
県民共済 = 共に助け合う「生活協同組合」
全厚済 = 掛け金で行う「相互扶助」
・組織構造の違い
県民共済 = 各自治体の認可を受けて実施されている共済事業
全厚済 = 一般財団法人として設立された相互扶助事業
県民共済は一般の保険同様、万一の時の保障をその一番の目的としています。
県民共済にも全厚済のような組合員になることで割引利用や優待を受けることのできるサービスがありますが、主たる目的は万一の時の保障となる共済です。
対して、全厚済は生涯を通して節目節目に御祝い金などのサービスを行うことに加え、人の生活全般に渡るゆりかごから墓場までのトータルサポートを目的としています。
県民共済と全厚済の大きな違いはこの目的の違いなのです。
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